女子高生を惹きつけるプリクラの技術経営 ~第2回女性企画者と男性技術者

■ 企画は女性、技術は男性

「その後の開発は、必ず女性が企画を担当するようになった。」

プリクラの開発部門は、企画部門と技術部門に大きく分かれる。その後は、企画部門は全て女性、技術部門はほとんど男性となったと言う。

「基本的に、企画は、1人か2人の女性に完全に任せる。最初に出す企画案は、何をしたいのか全く伝わってこないこともある。それでも完全に任せる。例えば、プリクラの新しい様式を生み出した2011年の大ヒット機種『LADY BY TOKYO』の場合もそう。最初、企画の女性が言っていたのは、『今までのプリクラにはない世界観で革命を起こす。CHANELのような高級感があって、誰からも長く愛される機械にしたい』というようなことだったのだが、技術部門の男性にとっては具体的な内容が分かっていなかった。しかし、最終的には任せていたら、大ヒットした。」

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『LADY BY TOKYO』(オムロン)
参考資料 http://www.am-j.co.jp/newmachine/201107/008.html

「男性だけで企画をしていた時は、新しい技術を入れることばかり考えがちだった。しかし、稲垣さんをはじめとする女性達が、技術的な進化だけではなく、ユーザにどのような新しい魅力を提供していくかを考えるという切り口を教えてくれた。今、若い女性達が、ガラケーを捨ててスマートフォンに買い替える様子を見ていると、フリューのプリクラ機が変化した時のことを思い出す。男性だけで作っていたプリクラは、機能がどんどんと増えていった携帯電話と似ている。女性が企画をするようになってからのプリクラは、スマートフォンに近い。機能だけでは売れない。」

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フリューのプリクラ企画部門の女性達

このように、フリューでは最初、プリクラの開発部隊は男性技術者のみだったが、企画者として女性が入り、開発をリードするようになり、変わっていった。第3回はさらに、フリューと女性ユーザとのつながりについても紹介する。