「プリクラ」と「自撮り」のビューティーハッカー 大賀彩貴さん

45種のカメラアプリを使いこなす

彼女の、写真で「盛れる」ことの追求は、プリクラを使う場合だけではない。

2012年頃からはスマートフォンアプリでも、顔を美しく画像処理する機能のものが増えた。彼女の理想の写真は、プリクラでなくアプリでも作れるようになったかと問うと、「プリクラのようには盛れない」と答えた。しかし彼女のiphoneを見せてもらうと、いわゆる「写真加工」に分類されるアプリが45種類もインストールされていた。「この中で、顔写真のために、本当にてっぱん(=確実にうまくいく)なのは5~6個」とは言う。多くの顔写真加工アプリは多機能であり、内容は似ているので、あまり多く平行して使う必要がない。アプリでは「盛れない」と答えた彼女なのに、なぜこれほど多くをインストールしているのか。

実際に、彼女が「てっぱん」と呼んでいる加工手順を見せてもらった。「まず『カメラフラッシュ』で明るいところで撮ったようにし、『MoreBeaute2』で肌を明るくして、『Princess Cam』で美白にして、キラキラのスタンプもつける。そして『女神カメラ』を使うと、少しナチュラルではなくなるんですが、目をキラキラ、顔をいきいきさせて、色合いと、フレームも決める。あとは『papelook!』とか『写真クミアワ』で写真を編集して仕上げる」

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彼女は、それぞれのアプリは多機能なのに、その一部しか使わない。機能ごとに、選び抜いたアプリを使い、組み合わせているから、多数のアプリが必要なのだ。iphoneにインストールしている45種も、あらゆるアプリを試した結果、残したものだという。「写真加工アプリは、毎日、新着情報をチェックしている。無料だったらとりあえずダウンロードして使う。有料だったらまず評価を見る。まだ評価が出ていなければ内容を見て、海外のアプリだったら内容の中の絵を見て、良さそうだったら買ってみる。似たような機能があれば、どちらのアプリが良いか比較して、悪い方は捨て、良い方を残す。」

ただし、この加工手順をふんだとしても、初めの撮影写真が「盛れ」ていないと、最終的にも「盛れ」ない。目の前で実際に撮影をお願いすると「それが難しい。何回も撮ってやっと盛れるのが何枚か出るくらいなので、ここでそれが出るかどうか」と言いながら試してくれたが、「今日は前髪が伸びていて、ちょっと難しい」という結論だった。「日によってどうしても盛れない日があって、最悪な日でも“プリクラ”ならある程度盛れるけれど、“自撮り”だと最悪。前髪がちょっと伸びてきた時も“プリクラ”ならあまり気にならないけど、“自撮り”だと目が見えなくなってしまう。」

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しかし、そこにも技がある。「フロントガラスのせいか、晴れた日の、車の助手席が一番盛れる。だから実家に帰ると、お化粧したらすぐ父の車に入って撮影している。自撮りのために帰省するみたいになっています。」

このように彼女は、既成のシステムを使うのでは、理想に到達できなければ、「アプリ」から「車」までよせ集めたシステムを自分で作って、理想を追求している。